作ったサービスにフォーラムを設置したいんだけど、なんかモダンで良いのないかなー、って探してたら、@jfssoが TechCrunchで良いの見つけたよ!って教えてくれて、見てみたらなんかすごく良さそうだったのでさっそく試してみたよ。
それがMootです。ちなみにまだベータ。
設置が超簡単
1. Setupに行って、フォーラム名を決めます。アルファベット5文字以上。
2. Facebookログイン or Mootアカウントを作成します
3. 板を作ります。1行1板になります。
4. 最初の投稿!というか定型文が入ってるのでそのままPostしたりします。
5. で、完成。
…で、 http://moot.it/nothing-sample なんてのができてるわけです。1分で。
ページへの埋め込みはたった1行書き足すだけ
Mootは、各々のサイトやページに埋め込んで使うのを前提に作られていて、 Embed ってボタンを押すと、スケルトンのHTMLが出てきます。
これをコピペして保存すれば後はやり放題。このコードも実際の所、ほとんどがコメントで、必要なのはCSSのlinkタグとJavascriptのscriptタグ(と、jQueryのscriptタグ)それぞれ1つずつです。あとは、フォーラムを埋め込みたい!と思ったところに、
<a class="moot" href="http://api.moot.it/nothing-sample"></a>
と書くだけで、フォーラムがこんな感じにできます。
[muut-forum]
↑これ、スクリーンショットじゃなくて、ちゃんと動きます。
ちなみにiframeで埋め込んでるわけではなく、aタグがそのままdivタグに置き換わって展開されるので、基本的に見た目は埋め込む場所のフォントサイズや色を継承してくれます。もちろん、CSSで自由に変更もできます。素敵。
フォーラム・スレッド・コメントの3形態
Mootは、フォーラム全体だけでなく、板やスレッドを個別に埋め込むこともできます。ここでは、ソースが見えるようにJSFiddleで並べてみます。(ResultのドロップダウンからHTMLを選ぶとソースが確認できます)
ひとつの板を埋め込むと、いわゆるスレッド型掲示板に。
スレッドを指定して埋め込むと、純粋にコメント欄になります。
いろんな形で使うことができます。カスタマイズも含めて、詳しくはドキュメントで。
当然のようにリアルタイム、いいね!
Mootの素敵な点として、最近のWebサービスでのユーザー体験が無駄なく取り込まれている点があげられます。
他のログインユーザーや新着コメントなどは、WebSocketを通じてリアルタイムに画面に反映されます。自分がコメントを書いてる最中にも、すごい勢いで別の人のコメントが書き込まれていったりします。各ポストにはいいね!を付けることができ、これも当然リアルタイムに反映されます。
その一方、投票機能やファイルのアップロードなど、無駄な機能が一切付いてません。単純にまだ実装されていないだけ、というものもありますが、コメントの編集機能や投票機能など、明確に「実装しない」と切り捨てられているものもあります。おいおい、コメントの編集ぐらいは必要なんじゃないの?と思うじゃないですか。普通。
議論に集中できるようにするためのデザイン
Mootでは、投稿後2.71(=e)分以内であれば発言をUndoできるようになっていますが、それ以降は(管理者以外)削除も修正もできません。当然のように、それは不便だから今すぐ改修してくれ!と投稿が編集できるべき10の理由なんてトピックが立ったりします。でも、Mootのチームはこれを明確に拒否します。「これはデザインされたMootの提供するUXの一部だ」と。
誰かが馬鹿なことを言って、ヤバイと思って「削除」しても、結局魚拓を取られていて、さらに炎上して……そんなことがインターネット上では腐るほど繰り返されてきた。ネットは本質的にそれができる場所なんだから、すべてが印刷物のように編集不可になるべきなんてことは思わない。でも、発言する人が言ったことに責任をもって、読んだ人は読んだとおりのものを信用できる、そんなフォーラムも必要なんだ——MootのUXを考える上で、具体的に何ができて何ができないべきかについて多くの検討をしてきた。これらの決定が、質の高い議論を生み出す結果に繋がることを期待している、と。
このあたりの熱い想いは、Aboutからも読み取れます。Mootは、「実のある議論をスムースに行うための、ミニマルでシンプルでキビキビ動くサービスとベストプラクティスを、とにかく簡単に使える形で提供する」という点にフォーカスしてデザインされています。既存のフォーラムとかけ離れた部分も多く、それは「自分でホストできないとかありえない!」「機能なさ過ぎて全然使えない!」とTechCrunchのコメント欄が盛り上がりを見せるぐらいには議論の分かれる所ですが、個人的にはMootの方針は好きです。そもそも、自分は何も用意しなくても、ニュートラルな見た目の、テキストに特化したフォーラムを、既存のサイトに簡単に組み込める(ちゃっかりSSL対応)というのは、他に代替手段がありません。
今後も期待
そんな素敵なMootですが、基本的に全部無料で提供されてて、特に制限なく使えちゃうし、広告も出さないし、テキストマイニングしたりマーケティングデータ売ったりもしない、って言っちゃってるので、いったいどうやって収益化するのかなーと興味津々。カスタムロゴの表示、非公開フォーラム、シングルサインオンなど(いずれもまだ実装されていない)を有料サービスとして展開していくようです。
Our focus is not revenue but rather on improving online discussions. By making a useful product the revenue will naturally come. A business focused purely on generating revenue makes poor products.
なんて志の高さはいいのですが、実際どうするんだろ…。なんて思いつつ、かなり素敵なサービスなのでとりあえず紹介エントリを書いてみた次第。チームの人たちもすごくアクティブで、報告した不具合に対するレスポンスが6分で返ってきて2時間後にはリリースされていたり、スタートアップな感じがとても良いです。
多言語対応もまだできていないし(数週間以内に10言語に対応する予定)、万人に手放しでオススメできるサービスではないのですが、Redisをメインのストレージとして使うなど、すごくエッジの効いたことをやってたりするのが面白いのもあって、個人的には今後も応援していきたいプロダクトのひとつです。複数の国にまたがる、オフィスを持たないチームで開発しているのもすごく面白い。(リンク先は、彼らのひとつ前の会社FlowplayerのAboutページ)
まずはトップページを眺めてみるところからどうぞ→ http://moot.it